気づかぬうちに被害者に!? ASMと脆弱性診断活用のすすめ | 中小企業サイバーセキュリティフォローアップ事業

2025.02.10

気づかぬうちに被害者に!? ASMと脆弱性診断活用のすすめ

みなさん、インターネットを安全に使うために何をすべきか悩んだことはありませんか?

デジタル社会が進む中、インターネットは私たちの生活に欠かせない存在となっています。しかし、その一方でサイバー攻撃はますます身近な脅威になっています。

私たちの大切な個人情報や企業の資産を守るために、最近よく耳にする「ASM(アタックサーフェスマネジメント)」と「脆弱性診断」についてご紹介し、どのようにセキュリティを強化できるかをお伝えします。

最新動向とサイバーセキュリティの重要性

年末年始に、国内企業がサイバー攻撃のターゲットになったニュースをご覧になった方も多いと思います。

世界中で進化し続けるサイバー攻撃は、従来の防御法だけでは対抗しきれないほど複雑になっています。特に、注目すべき点は「アタックサーフェス」の拡大です。

アタックサーフェスとは、サイバー攻撃の対象となりうるIT資産や攻撃点および攻撃経路を指し、攻撃対象領域とも呼ばれます。その範囲が広がると、それだけ攻撃されるリスクも増えてしまいます。

近年増加しているランサムウェアインシデントの多くは、インターネット上に公開された管理不十分なサーバやネットワーク機器からの侵入が主な原因となっています。

このような背景から、2023年に経済産業省から、「ASM(Attack Surface Management)導入ガイダンス」が公表されました。

ASM(アタックサーフェスマネジメント)とは

ASMとは、企業や個人が持つデジタル資産、例えばWebサイトやサーバ、ネットワーク機器、クラウドサービスなどを特定し、どこに攻撃リスク(アタックサーフェス)が潜んでいるのかを明確にする方法です。

これらのデジタル資産は、ビジネスや日常生活でとても重要な役割を果たしています。しかし、もしこれらが適切に管理されていないと、サイバー攻撃の標的になってしまう恐れがあります。

ASMを活用することで、まだ気づいていないリスクを早めに見つけて対策を取ることができます。

具体的には、資産を自動で見つけ出し、リスクを評価して、どの対策を優先すべきか対策の優先順位付けを行います。また、常に監視することで最新の脅威にも備えられます。

ASMが必要な背景

近年のクラウド化やテレワークの普及、モバイルデバイスの利用拡大により、IT環境が広がっています。また、働き方の変化により、シャドーIT(参考記事:「BYODとシャドーIT」)と呼ばれる企業の管理外で使用されるIT資産が増えており、アタックサーフェスの拡大が進んでいます。

セキュリティチームが存在を把握できていないIT資産は、セキュリティ対策が不十分なことも多く、サイバー攻撃のリスクが高くなっています。このような背景からASMの必要性が高まっています。

脆弱性診断とは

脆弱性診断は、特定のシステムやアプリケーションに存在する問題や弱点を見つけ出し、その部分を修正するプロセスを指します。

例えば、Webサイトやネットワークにあるセキュリティホール(攻撃されやすい穴)を発見し、悪用されないように対策を講じます。

脆弱性診断は、主に以下の5つのステップで進みます。

  1. 調べる対象をはっきりさせる
  2. スキャンツールという特別なソフトを使って問題を探す
  3. 見つかった問題を詳しく分析する
  4. 分析結果をもとに、どうやって直すかを報告する
  5. 報告に基づいて具体的な対策を行う

脆弱性診断には、自動スキャンによる広範囲な診断、専門家による手動診断など、様々な種類があります。

ASMと脆弱性診断の違い

どちらもサイバーセキュリティにとって大切な手法ですが、それぞれ目的が異なります。

ASMは、デジタル資産全体を把握して、どの部分にリスクがあるか明らかにすることが目的です。攻撃者がどのようにシステムに侵入しようとするかを見える化し、管理します。

対して、脆弱性診断は、特定のシステムやアプリケーションの弱点を見つけ出し、修正などの具体的な対策を施すことが目的です。攻撃者が悪用できるセキュリティホールを事前に発見し、対策を行います。

ASMと脆弱性診断のシナジー効果

ASMと脆弱性診断を組み合わせることで、企業のセキュリティ対策は一層強化されます。

ASMでデジタル資産を広く管理し、脆弱性診断によってその資産を詳しく調べることで、悪用されるリスクのある弱点(セキュリティホール)を最小限に抑えることができるのです。

新たに発見された資産に対しては、迅速に診断を行い、先手を打って対策を施すことが重要です。

さらに、定期的に脆弱性診断を実施することで、把握済みの資産のセキュリティ対策の継続的な改善を図ることができます。

具体的な対策の大切さ

セキュリティ対策は一度設定すれば終わりではなく、常に最新の状態を保つことが重要です。

サイバー攻撃は日々進化しており、過去に有効だった対策が今では通用しないこともあります。

そのため、企業や組織は常に最新の脅威情報を収集し、セキュリティ対策を更新し続ける必要があります。

また、技術的対策だけではなく、組織全体や周りの人たちのセキュリティ意識を高めることも大切です。

社員全員でセキュリティ教育やトレーニングを受け、全員がセキュリティリスクに敏感になるように促すことで、組織の防御力を向上させましょう。

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