情報セキュリティ関連認証とは?その制度、メリット・デメリットを解説 | 中小企業サイバーセキュリティフォローアップ事業

2025.02.13

情報セキュリティ関連認証とは?その制度、メリット・デメリットを解説


中小企業の経営者や情報システム担当者の皆さん、日々のセキュリティ対策、お疲れ様です。

本記事では、情報セキュリティや個人情報保護の取り組みに関する認証制度について説明します。

1.認証制度とは?

認証制度とは、正確には「第三者認証制度」「第三者適合性評価制度」などと言います。

ある製品やサービス、または組織が特定の基準や規格を満たしていることを、独立した第三者機関が評価し、認証を付与する仕組みです。第三者が審査を通じて評価することで、公平性や信頼性が担保されます。

例えば、情報セキュリティ分野ではISO/IEC 27001に基づくISMS(情報セキュリティマネジメントシステム:Information Security Management System)や、JIS Q 15001に基づくプライバシーマーク(Pマーク)、さらには技術情報管理認証制度(TICS)などが存在します。これらの制度は、企業が情報を適切に管理し、保護するための枠組みを提供し、外部のステークホルダーに対して信頼性を示す手段として重要な役割を果たします。


【第三者認証制度の代表例】

第三者認証制度の代表例である、ISMS・Pマーク・TICSの基準や評価対象・目的をまとめたもの


2.認証制度のメリット

情報セキュリティ認証を受けることには多くのメリットがあります。

まず第一に、認証を取得することにより、企業は情報管理の枠組みを整備し、システム全体の安全性を高めることができます。

また、企業が情報セキュリティに取り組むときの共通の悩み事として、以下のようなものが挙げられます。

 「何から始めたらよいか分からない。」

 「どのような対策が必要なのか分からない。」

 「何が成果なのか分からない。」

このような悩みの解決策として、認証の取得は、情報セキュリティ対策の進め方の手引きとして非常に役立ちます。それぞれの制度は目的に応じた規格、基準に基づいており、組織の重要情報や個人情報を適切に管理・保護するための枠組みを提供します。

これにより、リスクアセスメントを通じた脅威や脆弱性の特定、対策の計画・実施、さらに定期的な評価と改善のプロセスを体系的に行うことができるようになります。

また、認証を取得することで企業の信頼性が向上し、取引先や顧客に対してセキュリティ対策が整備されていることを証明できます。

特に中長期的な組織の持続可能性や法規制への対応を意識する場合、認証制度の枠組みは効率的かつ効果的なガイドラインとなります。

さらに、定期的に第三者機関による審査を受けることで、新たな気付きを得ることができ、取り組みへのモチベーションの維持につながります。

3.デメリットや注意点は?

一方で、情報セキュリティ認証を受けることにはデメリットもあります。

初期導入および維持にかかるコストや、認証取得および更新に必要な時間と手間が挙げられます。特に中小企業にとっては、これらのコスト負担が大きく感じられることがあります。

また、認証を受けたからといって完全に安全が保証されるわけではなく、継続的に内部のセキュリティを見直す努力が求められます。

したがって、認証の取得はあくまでセキュリティ対策の一環であることを理解し、組織全体での意識改革と日々の運用が欠かせません。

4.各認証制度の概要

情報セキュリティ認証には、業界や分野に応じて様々な種類が存在します。ここでは特に代表的な3つの制度について触れていきます。これらはそれぞれ異なる基準や目的を持ち、企業の情報セキュリティレベルを向上させるための有効な手段となります。企業は自社のニーズやリスクに応じた認証を選択し、適切な対策を講じることが求められます。


(1)ISMSの概要

 参考:ISMSとは(一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター)
    ISMSパンフレット(一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター)
 ※参照記事:「情報セキュリティ3要素(機密性、完全性、可用性)



(2)Pマークの概要

Pマークの概要

 参考:プライバシーマークとは(プライバシーマーク制度):一般財団法人日本情報経済社会推進協会



(3)TICSの概要

TICSの概要

 参考:技術情報管理認証制度(経済産業省)


これまでの記事で参考にしてきた独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第3.1版」に従ったサイバーセキュリティ対策ができていれば、いずれの認証制度にも共通する次の考え方は実施できています。

  • 対象にする情報資産を特定し、リスクを分析し、対策を計画する
  • PDCAサイクルで継続的に改善する

それぞれの認証基準に沿うように見直しは必要ですが、全く新しい取り組みではありません。

取引先や顧客からセキュリティ対策が整備されていることを求められている場合だけでなく、継続したサイバーセキュリティ対策への取り組みを確実なものにしたい企業は、認証取得を検討してみてください。

5.まとめ

情報セキュリティ認証は、企業のセキュリティ意識を高め、対策を組織的に進める上で重要な役割を果たします。ISMS、Pマーク、TICSなど、それぞれの制度には独自の基準や目的があり、企業は自社のニーズに応じて導入を検討することが推奨されます。

ただし、認証取得そのものが目的化することなく、日々の業務の中で継続的にセキュリティ対策を見直し、改善する意識が求められます。適切な認証を選び、実践することで、企業の信頼性と競争力を高めていきましょう。

次回は最終回です。これまでのおさらいとして、情報セキュリティの重要ポイントを振り返ります。

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