情報セキュリティサービスの特徴・導入のメリットとは | 中小企業サイバーセキュリティフォローアップ事業

2025.01.09

情報セキュリティサービスの特徴・導入のメリットとは

中小企業の経営者や情報システム担当者の皆さん、日々のセキュリティ対策、お疲れ様です。

昨今、ビジネス成長を支えるカギとして、DX推進の重要性が認識されています。

その背景にあるのが、IT技術の目覚ましい進化です。しかし、一方でその複雑さや高度化も加速しています。

ITの進歩は確かに便利ですが、その利便性の裏には隠されたリスクが存在し、特にセキュリティ問題を軽視することはできません。

そのため、企業が全てのセキュリティ対策を自社で実施するには、専門知識と人材が必要です。しかし、それを整えるには限界があります。そこで検討すべきは、専門的な知識と技術を持つ外部サービスの活用です。 本記事では、情報セキュリティサービスの特徴と導入のメリットについて説明します。

1.情報セキュリティサービスの概要

情報セキュリティサービスは、企業のデータを保護し、サイバー攻撃のリスクを削減するために提供される専門的なサポートと技術支援を指します。サービスの内容は多岐にわたりますが、デジタル環境で安全に業務を推進するための基盤づくりに役立つこれらのサービスを利用することで、より強固で有効なセキュリティ対策を実施できます。

中小企業が抱える課題

中小企業は、大企業と比べてITリソースが限られており、セキュリティの専門知識や専任のIT担当者不足など、自社での対応が難しいといった課題があります。

そのため、中小企業にとっては外部の専門的なサポートを活用することが、効率的かつ経済的に情報セキュリティを強化する手段になります。

導入のメリット

情報セキュリティサービスを導入することで、専門知識を持った外部の専門家から支援を受けられます。これにより、日常業務における情報の保護が強化され、万が一の事態への備えと迅速に対応できる体制が整います。また、外部機関の支援を受けることで、最新のセキュリティ技術やトレンドを取り入れやすくなり、効率的にリスクをコントロールすることが可能になります。

2.情報セキュリティサービスの種類と導入効果

(1)情報セキュリティコンサルテーション

企業の情報セキュリティ管理体制や対策を強化するための支援を行うサービスです。セキュリティ対策の現状を診断し、最適な改善策を提案することで、企業のセキュリティレベルの向上を図ります。

また、セキュリティ関連の適合性評価制度等における認証・認定を支援するサービスも行っており、取引先等外部からの信頼性を高めるサポートをします。

(2)情報セキュリティ教育サービス

従業員の情報セキュリティ意識を高め、セキュリティ知識や対応スキルを習得するための教育を行うサービスです。セキュリティへの理解を深めることで、日常業務でのセキュリティリスクを軽減することが期待できます。

(3)情報セキュリティ監査サービス

このサービスでは、企業が保有する情報資産を守るためのセキュリティ管理体制やリスク対策が正しく実施されているかどうかを、第三者の立場から評価します。国際的に整合性のとれた基準に従って検証または評価し、保証や助言を行うサービスです。

監査サービスを受けることで、自社のセキュリティ対策が十分なのかが確認でき、不十分な点の洗い出しや対処が可能になります。また、取引先などにセキュリティ対策を適切に行っていることをアピールできます。

(4)脆弱性診断サービス

システムやソフトウェアなどに潜むセキュリティ上の脆弱性の有無を専門家がチェックし、セキュリティ状態を診断するサービスです。システムに脆弱性があると、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクが高まり、企業の信頼を損ねるおそれがあります。診断を受けることで、安心してシステムを運用することができます。

診断には以下のような種類があります。

 ア ウェブアプリケーション脆弱性診断

WebサイトやWebアプリケーションに潜む脆弱性を発見してリスクを診断します。システム停止や情報漏えい、データ改ざん・不正アクセスなどにつながる脆弱性を洗い出します。

 イ プラットフォーム脆弱性診断

サーバーやネットワーク機器などのシステムに脆弱性がないか、設定に問題はないか検査します。

 ウ スマートフォンアプリケーション脆弱性診断

スマートフォンやタブレット端末内のアプリケーションに内在する脆弱性を診断します。主にアプリケーションを提供する企業が利用します。

(5)デジタルフォレンジックサービス

システムやソフトウェア等の不正利用、サービスの妨害、データの破壊、誤った情報の漏えいなどの問題を扱うための専門的な支援を提供するサービスです。これらの問題が法的な争いや訴訟に発展した場合、電子情報を証拠として保全し、詳細な調査と分析を行います。また、電磁記録の改ざんや毀損等に対する対策として、以下のような分析及び情報収集を実施します。

 ア 機器や記録デバイスの徹底調査

デジタルフォレンジックの手法を用いて、コンピューターやスマートフォン、その他のデジタルデバイスに保存されたデータの調査を実施。これにより、問題の原因や証拠を見つけ出すことが可能です。

 イ 訴訟サポートと電子情報開示

デジタルフォレンジックによる調査の一環として、訴訟を進めるための支援や電子証拠の開示手続き(eディスカバリ)に対応するサービス。これにより、法的手続きで必要となる証拠を効果的に管理できます。

(6)セキュリティ監視・運用サービス

企業のシステムやソフトウェアなどをセキュリティに精通した専門家が監視および適切な運用を行うサービスです。次に掲げるいずれか、あるいは全てのサービスを指します。

 ア  マネージドセキュリティサービス
  セキュリティインシデントまたはその予兆の検知、防御を目的とするものをいいます。

 イ  セキュリティ監視サービス
  セキュリティ製品が出力するログの分析、通知、レポート提供を継続的に提供するものをいいます。

 ウ  マネージドセキュリティサービスやセキュリティ監視サービスを包含する複合的なサービス

このサービスを活用し、セキュリティ監視・運用を外部委託することで、セキュリティ人材確保の必要性がなくなりコスト削減につながります。また、情報漏えいなどのリスク軽減やセキュリティ対策強化のメリットがあります。

3.情報セキュリティサービス活用の注意点

情報セキュリティの分野では、信頼性のある企業を選択することが極めて重要です。

多くの中小企業では、専門的な知識が不足しているため、提供されるサービスの質を見極めることが困難です。

近年、情報セキュリティサービスを提供する企業の数が増加し、提供されるサービスの種類も多様化しています。したがって、どの企業にサービスを依頼すべきか、また、そのサービスの評価方法について迷う企業は多いかもしれません。

信頼できる業者選びのポイント

信頼できる情報セキュリティサービスの提供企業を選ぶためには、具体的な基準を参考にすることが大切です。

専門知識のない中小企業がサービスを選ぶ際、その品質を判断できるようにするための基準として、第三者がサービス提供企業を客観的に評価する認定制度があります。

次に挙げる認定制度や公開されている情報を参考にして、信頼できる業者を選びましょう。

(1)情報セキュリティサービス基準審査登録制度

経済産業省による、情報セキュリティサービスに関する品質の維持や向上に努めているサービスを明らかにするために設定された「情報セキュリティサービス基準」。

「情報セキュリティサービス基準審査登録制度」は、この基準を満たすサービスをリスト化し公開することで、利用者が安心してサービスを選定することを目的としています。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA) では、この情報セキュリティサービス基準に合致している情報セキュリティサービスについて調査を行い、その結果を「情報セキュリティサービス基準適合サービスリスト」として公開しています。

これにより、サービスの利用を検討している企業は、信頼できる情報源に基づいて選択することが可能となります。

情報セキュリティサービス基準適合サービスリストは、5つのサービス分野を対象としています。

先述の2.情報セキュリティサービスの種類と導入効果の(3)~(6)で説明したサービスを検討する際、業者選定の一助として利用してください。

【情報セキュリティサービス基準適合サービスリスト】
https://www.ipa.go.jp/security/service_list.html

(サービス分野)
・情報セキュリティ監査サービス
・脆弱性診断サービス
・デジタルフォレンジックサービス
・セキュリティ監視・運用サービス
・機器検証サービス

(2)認定情報処理支援機関(スマートSME サポーター)制度

中小企業にITツールを提供するITベンダーなどを「情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)」として認定する制度。

この制度は、ITベンダーが中小企業向けに使いやすいITツールを提供し、その普及を支援することを目的としています。この制度を利用することで、中小企業は信頼できるITベンダーから生産性を向上させるための有用なITツールを入手することが可能になります。

https://www.smartsme.go.jp/SSS_OverviewPage (中小企業庁)

4.もっと簡単にサービスを活用するなら

情報セキュリティサービスを活用するにあたって、もっと手軽に利用開始するためのパッケージ化されたサービスもあります。

サイバーセキュリティお助け隊サービス制度

「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、中小企業に対するサイバー攻撃への対処として不可欠な以下のサービスをワンパッケージにまとめた、民間事業者から提供されるサービスです。

<ワンパッケージで安価に!>

 1  見守り  24時間365日監視 挙動や問題のある攻撃を検知し、あなたのPCと
 ネットワークを守ります。
 2 駆付け  問題が発生したときに地域のIT事業者等が駆付け対応します。
 (リモート支援の場合あり)
 3 保険  簡易サイバー保険で駆付け支援等のサイバー攻撃による被害対応時に
 突発的に発生する各種コストが補償されます。


IPAでは、基準を満たしているサービスに「お助け隊マーク」を付与しています。

また、このサービスを利用する際、IT導入補助金が利用できる『サイバーセキュリティお助け隊サービス』の導入支援制度を活用し、実際にかかる費用を軽減することも可能です。

・制度の概要はこちら:https://www.ipa.go.jp/security/keihatsu/sme/otasuketai/

5.経費削減のための制度

情報セキュリティサービスの導入に際し、「IT導入補助金」を活用することで、費用を抑えつつ効果的なセキュリティ対策を実現できます。

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者等が生産性向上を目的として、業務効率化やDX推進に向けた ITツールの導入を支援するための補助金制度です。

この制度を活用することで費用を軽減でき、より多くの企業が情報セキュリティ強化を図ることができます。

・制度の概要はこちら:https://it-shien.smrj.go.jp/

6.まとめ

情報セキュリティリスクが高度化し、それに対応するためには高い専門スキルが必要となっています。このような状況下で、企業が独自に対策を講じるのはますます困難になっています。

情報セキュリティサービスは多様化しており、そのため、公的機関によって、企業が安心して利用できるようサービス基準の策定や、補助金などの制度が整備されています。

人材不足や知識不足でセキュリティ対策が思うように進まない企業は、こうした情報セキュリティサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

なお、本稿は、IPAが発行している「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第3.1版」を参考に解説しています。

次回は、セキュリティ教育の必要性について解説します。

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